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日本マイクロソフト、学校向けに低価格な「GIGAスクールパッケージ」を提供
2020年2月4日 13:54
日本マイクロソフトは、GIGAスクール構想に対応した「GIGAスクールパッケージ」の提供を開始した。
「GIGAスクール対応PC」、「GIGAスクール構想に対応した教育プラットフォーム」、「MDMによる大規模な端末展開とアカウント管理手法の提供」、「教育研修の無償提供」、「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインに対応可能なクラウド環境」の5つで構成。GIGAスクール対応PCは、Dynabook、デル、日本エイサー、日本HP、NEC、富士通、マウスコンピューター、レノボジャパンの8社から17機種が用意されることになる。
文部科学省では、2023年度までに、児童および生徒に1人1台の端末を整備する「GIGAスクール構想」を発表。国は、1台あたり45,000円を補助することになる。国内PC市場の新たな需要を創出する取り組みとして、業界内で大きな注目を集めている。
日本マイクロソフト 業務執行役員 パブリックセクター事業本部 文教営業統括本部長の中井陽子氏は、「教育は私たちの希望の源泉である。よりよい明日のために、いま、種を捲く必要がある。GIGAスクール構想の1日でも早い実現に貢献するために用意したのが、今回のGIGAスクールパッケージであり、パートナーとともに用意した。当社では、WindowsとOffice 365をGIGAスクール構想に対応した特別な低価格で、日本の初等、中等教育機関に戦略的に提供する」としている。
また、日本マイクロソフト 執行役員常務 パブリックセクター事業本部長の佐藤知成氏は、「日本では、政府主導のもとDXが進められているが、海外に比べてまだ遅れている。GIGAスクール構想に、日本マイクロソフトは深く賛同し、今回の発表を行なう。日本の子供たちが世界で活躍する人材を育成することに総力をあげて協力していくことになる。GIGAスクール構想は、政策の一丁目一番地であると位置づけられており、OEM各社とともに協力していきたい」とした。
特別な低価格で管理も容易な「GIGAスクール対応PC」
「GIGAスクール対応PC」は、学習者用の端末の標準仕様に適合し、特別な低価格ライセンスを活用した製品になる。8社17モデルのうち、11モデルがWi-Fiモデル、6モデルがLTEモデルとなっている。GIGAスクール構想が計画されている4年間にわたって提供。今後、対応PCは増加していくことになるという。なお、特別な低価格ライセンスの金額については明らかにしなかった。
「GIGAスクール構想に対応した教育プラットフォーム」では、WindowsとOffice 365を特別な価格で提供。Office 365の共同編集機能やコラボレーションハブなどの機能を利用して、協働学習をサポート。ペン入力や学習用フォントと組み合わせることで、学習効果を向上させるという。
「MDMによる大規模な端末展開とアカウント管理手法の提供」では、Microsoft Intuneを活用した新たな導入および運用方法を提案。1人1台のデバイスとユーザーアカウントを管理する。従来のディスクイメージのクローニングに比べて、短時間で作業が終了するため、約3分の1のコスト削減と、運用の遠隔サポートも可能になる。今年度中に900万人分のアカウントを取得、設定できる環境を提供するという。
「設置費用や時間、手間を大幅に削減するModern Desktop Deploymentにより、導入プロセスを短縮化できる。Windowsの教育現場での設定には時間がかかるというこれまでイメージを払拭できる」とした。同社では、設定をサポートするための「GIGAスクール端末設定ガイドブック」を用意する。
Microsoft Intuneにより、充電保管庫内にPCを接続しておくだけで、夜中にスリープ状態から自動的に起動し、Windowsのアップデート作業を行なうこともできるようにする。
「教育研修の無償提供」では、都道府県において、市長村の研修トレーナーを育成する研修プログラムを、都道府県および制令指定都市の教育センターに対して提供。オンライン研修コースも提供する。
また、「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインに対応可能なクラウド環境」では、同ガイドラインに示された「守秘義務、目的外利用および第三者への提供禁止」に関しては、マイクロソフトのクラウドサービスが、ISO27018、ISO27701などの個人情報の規定に関する認証を取得してするなど、最適であることを強調した。
なお、日本マイクロソフトでは、「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインハンドブック」を用意しており、全国の教育委員会に配布する予定だ。
Windowsに対する誤解を解くことから
国内の教育分野において、Windowsのシェアは約85%に達しているというが、その一方でWindowsに関する誤解も多いと、日本マイクロソフトの中井統括本部長は指摘する。
「Windowsは起動が遅く、あらかじめ電源を入れておかないと授業がすぐにはじめられないという声があるが、Windows 10は高速スタートアップ機能が搭載されており、起動時間が従来の4分の1以下に短縮されている。また、スリープからの起動が遅く、PCを再起動させるのに時間がかかるという点についても、電源オフからの高速起動だけでなく、スリープ状態からはわずか1秒で高速復帰できる。
さらに、Windowsは急に更新がはじまってしまい、授業中に使えなくなるのではないかという点については、更新するタイミングをコントロールできようになっている。Windows 10では、更新プログラムを改善しており、ファイルサイズを最大50%まで縮小し、更新にかかる時間を大幅に短縮できる」(中井統括本部長)などとした。
なお、GIGAスクール構想で示されたPCのスペックが低い点については、「構想が示される前に、OSを発売する3社が事前にヒアリングを受けており、当社もそのなかに入っている。その結果、4GBメモリ、64GBのストレージという設定をしてもらった。Celeronベースになるが、新たなアーテキクチャーであり、学校でアプリケーションを利用する上では問題がない」(日本マイクロソフト 執行役員 コンシューマー&デバイス事業本部 デバイスパートナー営業統括本部長の梅田成二氏)と述べた。
日本マイクロソフトでは、2月4日午後3時から、、紀尾井町カンファレンスにおいて、全国の教育委員会を対象に、「GIGAスクールパッケージ」の説明会を行なう。